5日だけの二人
ミカって一体何者なんだ? お金持ちのお嬢様? それは理解できる、けど普通じゃないよな、金持ちなのは両親とかじゃなくてミカ自身だし、しかも全てを実力で手に入れたなんて有り得るのだろうか? あるいはミカの自作自演? もともと北見はミカの執事だ、口裏を合わせるくらい訳ないだろう。 でも、だとしたら一体何の為に? それこそ無意味だよな? けど、今朝の様に床に転がって寝ている様はまさに子供だ。考えれば考える程にわからなくなる、一体あの娘は何がしたいんだろうな? そして俺も…、
「お兄ちゃん か…、」
光一は深いため息をつく、自分自身でも何がしたいのかわからない。
光一が再びため息をついたその時。 浴場の入り口が勢い良く開いて、タオルを巻いただけのミカが入って来た。
「ごめん、待った? シャンプーがなかなか見つからなくて。」
少しも躊躇する事無く光一の所まで近寄って来る。あまりに堂々としたミカの態度に、呆気にとられていた光一だったが、我に返り慌てて反対側を向く。
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