５日だけの二人

光一にとってこれは、いささか不本意な結末だが、それはそれで仕方ない。これ以上は無意味だと自分に言い聞かせる。
「とりあえず私もお風呂入ってくるよ、さっきは入り損ねちゃったからね。」
「さっき…、あっ、うん…、そうだな。」
ミカの言葉で、先程の状況を思い出した光一は、自分の体温が上がるのを感じた。そんな光一をジッと見ていたミカは、
「また今度、落ち着いてからでいいからさ、さっきの続きを聞かせてよね。」
それだけ言うと部屋を出て行った。
光一はミカの言葉に一瞬戸惑ったが、とりあえず部屋を出て自分を落ち着かせる事にした。 長い廊下を歩き正面玄関から庭に出る。そのまま散歩でもしながら頭を冷やそうと思ったからだ。
玄関先には光一の車が止めてあるのだが、その左右にも一台ずつ車が増えていた。 左側には黒塗りの高級車が止まっており、運転手らしき人物が光一に一礼する。 年齢的に考えて、運転手が必要なのはミントだろうか？ 何故なら右側の車には運転手らしき人影は見えなかったし、何より運転手を必要とする様な車種には見えないからだ。
「凄いなこれ。」