5日だけの二人
「いいからいいから、気にしないで北見さん。この娘は本気じゃないから、ただ遊んでるだけよ。」
ユカはミントと北見を見ながら微笑んだ。もちろん北見自身もミントが冗談を言っているのは理解している、だからこそ一緒になって笑っていた。
「ところで光一さん、玄関先の車なんですけど、あれはあなたのですか?」
光一は“はい、そうですが?”と、至って普通の返答をしつつも、内心では待っていましたとばかりにミントを見る。
「良い車を持ってますね? オプションパーツのチョイスも素晴らしい。」
これを聞いた光一は少し嬉しくなる。自分の車を褒められたのもそうだが、ユカが自分の事を敵視しなかった事に安堵したのだ。 光一の経験からして車好きには二通りある。一つはとにかく車が好きな人種、同じ趣味の人間と楽しく話せるタイプだ。ユカはまさしくこれに当たる。そしてもう一つは、自分の車のみが好きな人種。これは、趣味の合わない車好きや、自分の所持している車のライバル車種なんかをドライバーごと敵視するタイプだ。こうゆうタイプと遭遇すると非常に面倒くさいと光一は考えている。
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