5日だけの二人
この光景、光一にとっては既に当たり前の事だった。 何故なら、ミカはいつでも二人分の飲食物を持っていたからだ。 あらためて考えてみると変な感じだが、光一にしてみれば何かのおまじないみたいな物だと思っていた、友達同士で流行っている様な何かなのだろうと。 しかしこうやってミカを見ていると、楽しんでいる様には見えない、まるで何かを考えているかの様な雰囲気でただただベンチに座しているだけだ。 あるいは、この行為そのものに何かしらの意味があるのかもしれない? それから一時間程が過ぎてからミカがゆっくりと立ち上がった。そのまま駅を出て大通りを歩き始める。 それを確認すると光一も店を出て後を付けた、周囲は駅前と言う事もありそれなりに店や高層ビルが立ち並ぶ都会、隠れる場所ならいくらでもあった。 できるだけ近ずかない様に気を配りながら後をつける、仮に見つかったとしてもそれはそれで面白い、そんな状況が無性に楽しいと光一は感じていた。 それにしてもミカの行動は全くもって普通であった、これと言って秘密めいた出来事は皆無である。
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