５日だけの二人

「あれからもう半年が過ぎたんだね。 体はすっかり良くなったよ、イメージトレーニングのおかけかな？」
イメージトレーニング？ 光一は近くの墓石に隠れながら、ミカの会話を聞いていた。 しかし、これ以上聞き続けるのはさすがに悪いような気がしてきたので、ゆっくりと立ち去ろうと周囲を見渡す。物音を立てないよう静かに歩き始めた光一だったが、隠れながら脱出できそうな道が見つからなくて困り果てた。 仕方が無いので、隠れたままでこの場をやり過ごすべく、息を殺して座り込む。
ミカはそんな事は知るよしも無く話し続けた。
「実はね、私、最近気になる人がいるんだ。」
ちょっと照れたような表情をするミカ。光一はこれを聞いてドキッとする、俺の事だろうか？
「知り合ったのは偶然なんだけどね、凄く優しい人なの、ナカムラさんの事が見えるらしいから間違いないよ。 少しだけ服のセンスが悪いのと、八方美人的な所があるけど、それも含めて大好きなんだ。 まあ、向こうがどう思っているのかは分からないけどね。 一緒にいると楽しいって言うか、なんだか癒されるんだよね。」