5日だけの二人
と言う事は、ミカが語りかけていたのは森課長の息子さんって事か? 驚いたな、世間はずいぶんと狭いもんだ。
「どうしてそんな事聞くんだ? 海路はいいとしても、何故君が八神家の事を知ってるんだ? あの時の娘に聞いたのかな?」
今度は森が光一に訪ねた。
「いえ…、直接聞いた訳ではありません。 さっき偶然に見かけたんですよ、八神って書かかれたお墓に話しかけてるあいつの姿を。」
光一の言葉に一瞬戸惑う森だったが、
「なるほどな、それが気になったと。 海路の娘が来ているんだね?」
光一は黙って頷いた。
「なら、挨拶くらいはしておかないとな。 君も一緒に来なさい、そうすれば偶然の遭遇という事にできるだろ。」
そう言うと森は歩き出した。 少し考えた光一だったが、覚悟を決めたように後につづいた。
「そういえば森課長は海路の家の事を知ってますか? 姉妹達の事とか?」
寺院までの階段を昇りながら光一は森に訪ねる。
「ああ、一度だけ行った事があるよ。 とても大きな屋敷だったし、何より面白い姉妹達だったからね。」
森は懐かしそうに答える。
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