5日だけの二人
「その口ぶりだと君も行ったみたいだね? みんなは元気にしていたか? 」

「はい、みんな元気にしてます。 特に次女の元気な事。 あの娘はとても面白いですね。」
森は光一の言葉にたいし、嬉しそうに何度も頷いた。
やがて二人は墓地の敷地内に入って行ったが、
「う~ん、どうやら海路の娘は帰ってしまったらしいね。 誰も見当たらないよ。」
光一も周囲を見渡すが、
「そうみたいですね、どうやら一足遅かったみたいですね。」
既にそこにはミカの姿は無かった。
「まあ、そのうち出くわすかもしれないな。 なにせ目的地は同じだからね。 せっかくだから東堂君も墓参りしてくれないかな? 」
内心、ミカがいない事に安堵しながらも、何故そう感じたのか理解できない光一は、笑顔で答えた。
「ええ、是非。 それから森課長の事は海路家のみんなにヨロシク言っておきますね。」
「そうしてくれ、今となっては敷居の高い家だし、なんとなく気が引けてしまってな。」
二人は目的の墓石の前までくると、その場に礼儀正しく立ち、ゆっくりと手を合わせた。
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