5日だけの二人
老人はミカの方には振り向かず、墓石を見つめたまま答える。
「まだ気にしてるの? あれは単なる事故だよ、誰のせいでも無い、だからもう…」
「私にとっては…、まだ昨日の出来事の様に感じるよ。夢に見るんだ、あの時の夢をな。」
老人はその場に腰を下ろして手を合わせた。
「きっと私を恨んでいる事だろう。 私はそれだけの事を君達にしたんだからな。 けどね、もし人生をやり直すような事があったとしても、私はきっと同じ選択をしただろうね。」
「…そうかもね。でも、そうじゃないかもしれない。 誰にも先の事なんてわからないよ。 私はあなたを恨んでないよ、もちろん彼だって同じだよ、だからもう自分を責めないで。」
「…」
しばらくミカと老人は黙ったまま時間が過ぎた。やがて老人は立ち上がり、ゆっくりと帰り始めた。
「すまないね、また来るよ。」
そう一言だけ発し、そのまま振り向かずに行ってしまった。 ミカはその後ろ姿をジッと見つめていた。
「私達のした事で、みんなの人生を狂わせてしまったんだね。 ねえ、あんたはどうしたらいいと思う?」
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