抱きしめてくれる?

ちょっと足場が悪く
私はゆっくり転ばないように歩いた。


「ちょっと!早い!」

「お前が遅いんだよ」



健君は先々歩いて行く。



「いやっ!!!!!…ぃ…っ…たい!」


ちょっと油断してると
足をすべらせ転けた。



「待って…」


ヒザをすりむいた。

健君に待ってって言っても声は届かず
見えないとこまで行ってしまった。



立ち上がって足速に追いかける。



「どんなけ歩くの速いわけ
ここ…まっすぐだよね?」



道が続くところを歩いて行く。



「うわ…お墓だ…」


お墓がずらーっと並んでいた。
お墓の手前に道があった。


「ここを通れば…きゃーっ!!!」


お墓のところから
コウモリが飛んで来て
また転んでしまった。



「もう…なんで…最悪…
なんであんな人とペアなわけ…」


最悪な人…足が痛い…1人じゃ怖い
どんどん涙が溢れて来た。


泣きながら立ち上がって
山を降りて行った。



「ぎゃっ!」



足をすべらせ
皆がいる場所まですべり落ちた。



「大丈夫?」


ゆりかちゃんが寄って来て
心配してくれた。


急いで涙をふき、うなずいた。



「じゃあ次は俺ら!
ゆりか行くぞ!俺の足引っ張るなよ!」

「わかってるわよ!」


ゆいととゆりかちゃんは
山に入って行った。


ゆっくり立ち上がって
山の近くの岩に座った。



「ケガしてんじゃん大丈夫か?」

「大丈夫」

「そう言う嵐も
ケガするんじゃねーの?」

「しねーよ!」




そう言うと真也君と
嵐君はじゃれあいながら
離れて行ってしまった。
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