抱きしめてくれる?

「じゃあ今健1人で教室にいるから
話しかけてこい!」




放課後廊下でゆいとと
みうちゃんが協力してくれた。




はぁードキドキする…。




「まだいたんだ…帰らないの?」


嘘くさく問いかける。



「ゆいとが職員室行く
って言うから待ってる」

「一緒に帰るの?」

「今日星見に行くから」



話しながら健君に近づく
健君は自分の机に座っていた。

私は健君の前の机に座る。




「なにやってんの?」

「観察」



健君が座る隣の机を見ると
虫のリアルな消しゴムがあった。



「あっ!これ知ってるよ!
この前部屋にいた!」

「クモ?」

「うん!ガ食べてた」

「お前の部屋なんかぐろいな」

「ぐろくないよ!
たまに庭でホタル見るよ」

「ホタルもいいよなあ」

「虫好きなの?」

「うーん…ちょっと」

「ちょっと?」



私が問いかけると微笑んだ。



「お前って面白いな」

「え?顔が?」

「違うわ…あのさ…
謝りたいことあってさ今言っていい?」

「なに?なんか意外」

「肝試しの時のこと
本当にごめん…怖いのにおいていって
ケガさせて…」

「……気にしてたの?」

「うん…強がってる自分がいてさ
ちゃんと謝れなくて」

「いいよ別に
私も100回土下座とか言って
強がってたし…気にしなくていいよ」

「よかった…ありがとう
いつ言おうか迷ってて
星見に行った時言おうって思ったけど
なんか言えなくて」




真面目な健君…。

知らない君が見えた…。
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