隣の席のキミが好き
さっき会った女……



後ろ姿がアイツに似てて、



追い抜くかどうか迷ってたら、急に停まったんだよな。



で、ぶつかりそうになって、急ブレーキをかけたらバランスを崩して自転車から落ちたってわけ。



フざけんなって思ってニラんだら、全くの別人だった。



いつものスマイルを振りまけば、あの子もたちまち俺の虜。



嬉しそうにしてたし、また新たなファンを獲得してしまった。



俺って罪な男。








――ゴンッ。



「痛ぇ」



「青葉、ちゃんと前見て歩けよ」



くっ……。



自己陶酔に陥るとき、たまに空想の世界にいる俺。



志摩が急に立ち止まったのに気付くのが遅くて、ヤツの後頭部に軽く追突した。



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