隣の席のキミが好き
「わかってる…けど、ジュースが飲みたくなって」




「ジュース?」




「そう」




「鈴木の足だと遅くなりそーだから、俺が買ってくる」




鈴木を追いかけ、ふたりで廊下を小走り。




「そんな、いいよ~。青葉くんが遅れちゃう」




「大丈夫だって。キミのためなら……」




……この言い方が、ウソくさいのか?




こんな感じじゃ、きっと伝わらない。











「待てよ」




グイッと腕を引くと、鈴木はかなり驚いている。




「男の言うこと、素直に聞けよ。俺がこー言ってんだから、甘えればいーの。先に戻ってろ」




鈴木の肩をトンと押すと、ただ茫然と突っ立っている。




だけどもう、押し問答になることはなかった。




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