涙々～RUIRUI～

でも今日のは耳を疑う内容だった。
「お姉ちゃんが言ってたんだけどさ、3組の佐竹くんって……逆援してるって」
『逆援』援助交際の逆。男性が女性からお金をもらうこと。
涼哉が…その逆援を？
「ウソーっ！やだぁっ」
女生徒の話を聞いた他の生徒は口々に『ウソだよ』、『有り得ない』とか言っている。確かに有り得ない…。
でも夜遅くに帰ってくる涼哉を知っているわたしにとっては…。
「蕾、聞いた？」
「え？なに…が…？」
頭が真っ白になった。
まさか、涼哉が逆援？いやいやいや、有り得ない。
自分に言い聞かせるけれど、裏では半分信じている自分がいる。
「何かお姉ちゃんが、佐竹くが女の人とホテルに入るの見たって！」
「それ！あたしも見たことあるよ！」
「そう言えばわたしも…」
次々と目撃情報が出てくる。生徒は『ウソだ』と言う顔から、『マジだ』と言う顔に変化していた。

その日のうちに、噂は全校に広がった。
佐竹 涼哉は逆援助交際をしている、と…。