涙々~RUIRUI~
戸惑っているわたしを遮って涼哉が言う。
こちらを向く涼哉は、月明かりを背にして表情が見えない。嫌なオーラを纏っているのは間違いないけれど…。
「うっ、うん…」
「良かった」
「でも…っ」
口許が緩まったのがわかった。涼哉の輪郭を描く光が歪んだんだ。
これ以上は言わない方がいい…。何も…。
「あんな噂さ、考えれば有り得ないことだよね。何のために逆援して金を貰うのさ。ここ?もう母さんに疑われてるよ。何処から手に入れたのかってね」
「まぁ、確かに…」
「それに、体を売るくらいなら喧嘩してストレスはっさーん!ってね♪」
涼哉がわたしの横に並ぶ。肩に手を置いてきて、『クラスの子に言っといてよ』と耳打ちされた。
「わかった…」
「じゃ、おやすみ」
涼哉が背を向けて歩き出す。
彼は確かに言った。『何のために、逆援して金を貰うのさ』と。それは逆援してお金を貰う理由がないと言うこと…。
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