涙々~RUIRUI~

あの日、わたしを抱いた涼哉は終わった後、こう言った。
『蕾って初めてだったんだね。ちゃんとイけた?』
妖艶に微笑みながら言ってきた。
まだ何か言っていた気がするけれど、意識を飛ばしたわたしは朝まで涼哉のベッドで眠っていたんだ。
思い出すだけで頭が痛くなって、手が肩が体が震える。その度、治らないくせに気休め程度に頭痛薬を飲んだ。

その夜、お母さんが血相を変えて部屋に入ってきた。
「どうしたの、お母さん?」
「りょっ、涼哉が…、涼哉が…っ――――」
それを聞いた時、頭が真っ白になった。

「はぁっ、はぁっ…」
気が付いたら走っていた。
ずっと部屋から出なかったわたしが、今外を走っている。それも引き籠りにした張本人の名を呼んで…。
「涼哉…!」
着いたのは病院。
どうやって来たかはわからない。どの道を通って?ここは何階?エレベーターは乗っていないし、階段を上ったの?
病室には月明かりに照らされて、ベッドに座る涼哉が居た。着ているのは薄い入院服だ。
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