涙々~RUIRUI~

タイチと付き合い始めて、2週間と少しが経った。今日は、タイチのお部屋デートの予定だ。
「寒いね」
「うん」
ぎこちない会話で下校する。ずっと、こんな感じだ。タイチは緊張して、いつも話題を探すように『えっと…』と小声で繰り返す。わたしはそれに小さく笑って、手を繋いだ。
「無理しなくてもいいよ」
「ぁ…、うっ、うん」
そうやって手を繋いで歩いていると、前方に踞る男子生徒が見えた。
あの頭は…
「涼哉…?」
パッとタイチの手を離して、男子生徒に駆け寄る。やっぱり涼哉だ…。
「涼哉、どうしたの?」
「…っ………、ツっちゃん?」
顔を歪め、お腹辺りを押さえる涼哉。顔色が酷く悪い。
「佐武…?大丈夫か!?」
「あぁ…、大丈夫…」
塀に手をついて、立ち上がった。無理をしているのが、わたしたちにバレバレだ。
「無理するなよ。送るよ」
タイチは肩を貸して、涼哉をしっかり立たせた。
「悪いね」
「いいって」
そのままフタリハ歩いていき、わたしはその後を涼哉の鞄を持ち付いていった。
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