涙々~RUIRUI~
沈黙が部屋を満たす中、涼哉は何度も座り直す。スッと布が擦れる音がする度、涼哉に顔を向けるが彼は俯いたまま…。
「どうしたのさ…、涼哉らしくない」
「…あぁ…、うん」
微妙は反応…。また沈黙が部屋を満たして、落ち着かない。
「俺さ…」
「…?」
話し出したかと思いきや、すぐに黙ってしまう。ここは変にわたしが話さない方が良いかもしれない。涼哉が話すのを待とう。
「………」
「俺…、ここを出ようと思うんだ…」
「………………、え…?」
涼哉の口から出た言葉は思いも寄らないもので、反応が遅れてしまった。涼哉は手をぎゅっと握りしめて、これでもかというくらい体に力が入っている。
何で…、何でそうなった…。
聞きたい。聞きたいのに、声にならずわたしは固まった。
「…金、それなりにあるし…。もう高校生だし…」
心なしか、声が震えているように聞こえて胸に何かが込み上げる。
堪えろ…、堪えろ…。
「高校卒業したらって思ってたけど、…母さんに迷惑かけすぎた。……母さんもいい歳だし、デカイのが一人いない方がいいかもしれない。ツっちゃんは、ここ継ぐんでしょ…?」
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