絶対的愛情
「あ、もしかして…嫌い?」
開かれたバスケットの中には、サンドウィッチが綺麗に入っていた。
彼女は瞳を伏せて、肩を落とす。
「いえ…嫌いとかではなくて。せっかく作って頂いたのに申し訳ないんですが…」
どうしたものか。こればっかりは、我慢がきかないのだ。
「他人が作ったものが、食べられないんです…」
「はっ?何それ!」
彼女は素頓狂な声を出して、弾かれたように顔を上げた。
「本当に、申し訳ないです…」
「松井 俊介、結婚する気あるの?」
フルネームで言われると、何だか野球選手のような聞こえになってしまうなと冷静に思いながらも…
「…ないかもしれないですね」
そう言葉を落とす。
「なんでなんでなんで!!」
あぁ、僕はやっぱり苦手だ。
疑問と叫びが折り混じった高い声。
耳がキンキンする。
「ねぇ、今まで付き合ったことあるの?」
サンドウィッチにパクっと噛みつきながら、鋭く僕を睨む彼女。
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