絶対的愛情
☆☆☆
「あれれ?どうしたのよ、出勤早々今日はしかめっ面?」
みなみが真似して下唇をへの字に曲げて見せる。
「外回り行ってくる…」
「ちょっと、美優?」
今月は営業成績が良くない。
プライベートのせいになんてしたくないけれど、私の場合はすぐ仕事に影響が出る。
『結局僕の恋人は、研究です』
『僕は、そんな人間です』
屈託のない笑顔。思い出したら何だかムッとする。
そりゃあ、私は『笑顔が可愛らしい女性』ではないけれど。
彼を好きな気持ちは誰にも負けない、と思う。
誰にも…。
営業用の車に乗り込んで、鏡に向かって笑いかけてみる。
まだまだ始まったばかりだし。
そう簡単に諦めないって決めたんだ。
.