絶対的愛情



「すごい可愛い人…」


思わず声に出てしまうほど。

画面の中の小嶋さんは、黒目が大きくて、お人形さんみたいに可愛かった。

「日本のテレビ番組からも出演オファーが殺到らしいよ」


補足するように、みなみが言う。


「とても34歳には見えないよね。さ、定時だし帰ろうかな」


「あー待って、あたしも一緒に帰る!」


急いでパソコンの電源を落として、みなみと会社を出る。

マフラーをぐるぐる首に巻き付けて、外に出ると、一気に気温が下がって身体が震えた。


「美優は、バレンタインどうするの?例の研究者と会うの?」


「会いたいとは思ってるんだけどさ。手作りは駄目だし、甘いものも嫌いだって…この前言われちゃった」


一筋縄ではいかない、私の恋。


それでも、家に帰って彼に電話をかける。


「…はい」


声を聞いて、好きが溢れてくるんだ。

ひとりでにニヤニヤと頬が緩む。



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