絶対的愛情
行こうか、行くまいか悩んだ。
何故、僕が彩美を空港まで迎えに行かなければならないのか。
きっと彼女は日本に来ても多忙だろうし、メディアにも注目されている人物。
僕なんかが易々と行っていいものなのか。
考えていても仕方のない事だと思い、車に飛び乗った。
明確な理由がないと動けない僕にしては、 珍しいかもしれないが。
「8年ぶり…か?時間が経つのは早いな」
ラジオのニュースからは、小嶋 彩美についての紹介と今日日本へ着くという内容が流れていて。
何だか、不思議な気持ちになる。
よく知っているのに、どこか傍観していて。
脚光を浴びる彼女が、どんどん遠ざかっていく。
同じフィールドに立っていたはずなのに、いつの間に成功と実績を手に入れた彼女に負い目を感じている。
素直に喜べないのは、やはり嫉妬なのだろうか…。
予定していた時間より少し遅く、車は成田に到着した。
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