絶対的愛情
☆☆☆☆☆
「…………え」
全身に、鳥肌が立った。
夜のニュースのトップに、『小嶋 彩美 空港到着!恋人お出迎え』というテロップと一緒に映像が流れていた。
小嶋 彩美が小走りで、抱きついた相手は…
「俊介…」
一昨日会ったばかりの、彼だった。
彼が話していた学生時代の恋人って、小嶋 彩美の事だったんだ。
『バレンタインデー帰国、その熱々ぶりに報道陣もビックリで…』
世界が真っ暗になって、全ての音がかき消される。
そうだよね。お互いに嫌いになって別れたわけではないから、再会して付き合い出す可能性は充分にあるのだ。
私なんて、相手にされなくて当然。
あんなに可愛いくて、地位も名誉も手にした彼女なら…
これ以上見たくなくて、テレビを消した。
涙が溢れて止まらない。
ただの一目惚れから、こんなに好きになっていたことに気付いても…
手が届かない。
遠すぎて、遠すぎて…
見えなくなってしまった。
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