絶対的愛情
★★
あれから2週間が経った。
研究チームを外されることはなんとか免れ、仕事に復帰。
瀬戸さんは3日間寝込んだらしい。
まだ咳が続いていると、昨夜の電話で言っていたのを思い出す。
ずっと昔に置き去りにしてしまった感情を、彼女と出逢って思い出したような気がしたあの日の夜。
研究しか、なかった僕の毎日に…。
「あ、もしもし?私。今夜、食事でもどうかな?」
「もうスキャンダルは懲り懲りだ」
彩美からの電話。やっと復帰できたのに、謹慎になりたくなんてない。
この前放送された『しゃべりまくろう tonight』では、僕との交際の真相を彩美がぺらぺらと話していた。
今は付き合っていないのにも関わらず。
「それに、テレビで余計な事を喋らないで欲しい。僕と彩美はもう…」
「私は俊介とやり直したい。本気でそう思ってる…それも含めて話がしたいの」
「…僕は今大事な研究がある。チームを外されそうになったんだ。今度また騒ぎになれば、次はない」
彩美は暫く黙った後、静かに言った。
「少しはまともになったと思ったのに、相変わらず研究の方が大事なんだ…」
研究の方が大事だなんて、言っていないけれど。そう捉えられても仕方のないことだ。
それでも分かって欲しいと思うのは、僕のワガママなのか…
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