絶対的愛情
「瀬戸、美優さんですか?」
「はい…そうですが…?」
突然声をかけられて振り返ると、中年の男性が立っていた。
きっちりとスーツを着ていて、知的な雰囲気なその男性は堅い表情のまま名刺を私に向ける。
「突然すみません。私、○○大学最先端生命科学研究所の梶井と申します」
戸惑いを隠せないまま名刺を受け取り、目を通すと確かにそう記されていた。
俊介と関係が…?
「私に何の用でしょうか…?」
「松井と親しくしていると伺いまして、ぜひご相談したいことが…」
俊介と会った日から三日後の事だった。
梶井さんが仕事帰りの私に声をかけてきたのは。
何だか嫌な予感はしたけれど、俊介に関わる事なら聞きたいと思った。
「私でお力になれるのであれば…」
「ありがとうございます。では、場所を変えましょう」
梶井さんの後をついていく。
俊介とは他愛のない会話は電話でしていたけれど、研究については最近何も話題に上がらなかった。
「本題に入る前に確認しておきたいのですが…」
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