絶対的愛情
「あ、あたし行かなきゃ…。取材、頑張って」
「おう、またな」
聞きたくなかった。
これ以上、傷付きたくないだけかもしれない。
だけど、鼻の奥が痛くて今にも泣き出してしまいそうだったから。
「あ、美優!」
「え?」
貴大に呼び止められて、振り返る。
「ずっと、謝りたかった」
私よりもずっと背の高い彼が、悲しそうな顔で私を見下ろした。
「突然、振ったこと…ずっと謝りたかった。ごめん…上司に言われちゃったんだ」
「…大丈夫。もう、大丈夫だよ」
笑って、貴大の服を掴んだ。
本当は、あの夜消えてしまいたいくらい悲しかった。でも…
「応援、してるから」
あの夜、私は彼に出逢った。
寒くて、痛くて、感覚を失いそうだった私に。
こんな、春みたいな温かさをくれた。
やっぱり、会いたい…
会いたいと、強く思うのに。
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