絶対的愛情
「……っ」
自分のマンションに着いた瞬間、電気も付けずに玄関で座り込んで泣いた。
嗚咽が、静かな空間に虚しく響く。
私、何してるんだろう…
もう俊介には会えないのに。
この気持ちは、叶わないのに。
何してるんだろう…
こんなに泣く必要ないって…分かってるのに。
立ち上がれずに暫く浅い呼吸を繰り返す中、携帯の機械音がして、コートのポケットを漁った。
「……………な、」
なんで?
手が異常なほど、ガクガクと震えて携帯を抱き締める。
こんな、機械音さえ愛しく感じてしまう。
なんで?
「…しゅ…」
震えが止まらない。
『着信 松井 俊介』
愛しくて、愛しくて仕方ない。
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