絶対的愛情
「…俊介?」
ついに幻聴まで聞こえるようになってしまったか。
俯いていた顔をゆっくりと上げる。
「…瀬戸さ」
言い終わらないうちに、彼女が胸に飛び込んできた。
「好き。大好き…どこにも、行かないで」
「…瀬戸さん」
言いたいことがたくさん浮かぶのに、言葉にならない。謝らなきゃ、伝えなきゃ…頭の中でごちゃごちゃになる。
「俊介じゃなきゃ、やだよ」
彼女の顔は、涙で溢れていた。
「…僕も、同じ気持ちです」
「本当に?」
「はい。瀬戸さんと、離れたくない…」
「嘘みたい…」
そう言ってまた抱きつく。僕も強く、離さないと力を込めてそれに応える。
込み上がるこの愛しさが…
「もう、どれだけ苦しかったか」
「すみません。たくさん、苦しめてしまって…」
そろそろ恥ずかしくて彼女から離れる。
忘れかけていたが、ここは公園。
周りの視線がチクチクと刺さって、我に返った。
瀬戸さんもそれに気付いて、小さく笑う。
.