ORANGE×LEMON
それも限界が近づいていた。
色鮮やかに紅葉した葉っぱたちが、風に吹かれて散り、地面に落ちる。
その道を通るだけの人達が歩くために踏んでいく季節。
三年間、きっちり続けて来たテニス部も引退し、本格的に志望校に向けて勉強に励み出そうとしていた。
私の志望校は、特に無かったが、何となく近いうちに来るであろう将来を想像して、今の家から少し離れた場所にある、私立高校に通うことにした。
勉強はそこそこできるらしいので、担任からは、ちょうど良いんじゃないか?まぁ頑張れ。とだけ言われた。
母に伝えると、「分かった」とだけ一言。
きっと察しはついているんだろうと思った。
父には直接は言わなかったが、母から伝えられていた。
それに反対の意見は無かったらしい。
目標は決まり黙々と机に向かう私。
そして決まった時間、24:00にはたいてい眠気がやってくるので布団に入る。
ウトウトとした頃にまたは響いてくる喧嘩声にいつしか慣れていた自分がいた。
それから凍えるような寒さの冬がやってきた。
ほとんど課題に明け暮れていた冬休みが終わりそうな頃、母に告げられた。
「お母さんとお父さん、離婚するから。どっちについていくか、考えておいてほしい」
予想していた台詞だった。
なんだか、現実味もなかった。
だけど、答えは決まっていた。
「私はお母さんについていく。」