昨日、学校一の不良に壁ドンされちゃいました!



胸が、大きな音を立てた。

あたしは、体中が熱くなっていくのを感じながら、驚いて目を丸くさせる。


彼が、笑ってる。


その顔は、カッコいいいつもの顔とは違い、幼さを残している笑顔。
彼は、右手を口に当てて笑っている。


理由、なんて分かんないけど。

あたしの胸を高鳴らせるのには、十分だった。


「・・・ははっ、お前、バカじゃねぇの?」

彼は、その破壊力抜群の笑顔のまま、あたしを見た。

「ば、バカ?なんで?」

いきなりの暴言も、何故か嬉しい。
あたし、Mじゃないはずなんだけどなぁ。


「だってさ、掴まれてるのに歩こうと必死だし。お前、ド天然じゃん」

彼はそう言うと、左手を上に上げた。
と、同時にあたしの鞄が上がって、あたしは驚いた。

‘こと’を理解した時、ものすごい恥ずかしくなって体中が熱を帯びていくのを感じた。



「・・・あ、ああ、うん」

あたしは下を向く。

歩けなかったのは、オカルトでもホラーでもなかったようだ。
彼に鞄を持たれてたから。

なのにあたし、バカなの!?
恥ずかしすぎる。


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