昨日、学校一の不良に壁ドンされちゃいました!




彼の笑顔を見たからと、恥ずかしいことをしてしまったからという理由で、あたしは体温を38度くらいまで急上昇させてしまったと思う。


「・・・あー、面白い。俺、こんなに笑ったの初めてかも」

「いや、それは言いすぎかと・・・」

「マジで。俺、笑わねーもん」

彼はそう言って涙を拭った。

ん?というかそれってあたし、かなり運がついてるってことだよね?
滅多に笑わない人の笑顔を見たってことで。


「・・・そっか」

それがなんだか嬉しくて、ついぶっきらぼうな高野流返事になってしまう。

そうして彼の笑顔が見れて喜んでいたけど、気づけば彼はもう真剣な顔に戻っていて。

「・・・てか、逃げんなよ」

「・・・ごめんなさい」


でもね?でもでも・・・

離してもらえませんでしょうか?

ずっと鞄を掴まれているせいで彼との距離が近くて、あたし、キュン死にというものを経験してしまいそうです。


なんて、苦手なはずなのに。

普通、こんなことでドキドキしないのに。

やっぱりあたし、おかしくなってる。


胸の高鳴りの止め方を考えていると、

「おい、高野!なにしてる!!あれほど生徒に関わるなと言っただろう!」
という、低い声が校舎から聞こえてきた。

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