昨日、学校一の不良に壁ドンされちゃいました!
その姿に、女子はまた、大きな悲鳴を上げる。
「ゆ、優乃?いつの間に、あんなのと仲良くなってんの?」
そう尋ねてきた柊も、あたしと同様に大分驚いているようだ。
柊には昨日、〔足が痛いから休む〕とメールをした。
つまり、昨日彼となにがあったか、柊は知らない。
そういえば昨日、結構目立ってたのに、噂とかは全く広がってなかったな。
・・・ちょっと不思議。
「うーん、ちょっとね」
彼を見つめたまんま、曖昧に濁す。
「優乃、ああいうの苦手じゃん」
「うん、そうなんだけど・・・」
っていうか、そうだったから、付き合うことになったんだよ。
「と、とりあえず行ってくる。柊、悪いけど、今日は他の人と食べてくれない?」
あたしは凌我を見つめ硬直したままそう言うと、落ちたお弁当を拾った。
「うん・・・分かった」
柊も私と同じような状態でそう返す。
「ありがとう。じゃあ、あとで」
柊にそう苦笑いすると、柊も私をちらっと見て首を縦に振ったが、その顔は困惑で満たされていた。
驚かせてごめんねと思いながら、あたしは彼に駆け寄る。
女子の悲鳴が聞こえたのは、言うまでもない。