昨日、学校一の不良に壁ドンされちゃいました!
柊もヤンキーは好きじゃないし一切関わらないタイプだから、凌我があたしを呼びに来ても柊が凌我と喋ったことはない。
でも、柊の場合、あたしの‘嫌い’とはタイプの違う‘嫌い’な気がする。
あたしは怖いから苦手なんだけど、柊は正義感がめちゃくちゃ強いから乱暴なのが許せないんだと思う。
だから多分、あたしが強制的に凌我と付き合うことになったって言ったら、柊は速攻凌我に果し状を渡しに行くだろう。
ちょっと想像してみたけど、そんなこと柊にさせられるわけない!
だからあたしは柊には絶対に絶対に言えない。
「ま、まあ色々あるんだってば・・・」
あたしは自分でも分かるくらい思い切り目を逸らして弱々しくそう言った。
そんなあたしの顔をじーっと覗いた柊は、やっぱり不服そうに、
「何よー、ついこの間まで恋のこの字も知らなかったくせにー。やっぱ怪しい」
「うるさいなあ。どうせ子供ですよ、あたしは」
「違う、そういう意味じゃなくて。だから心配なのよ、あいつに優乃が辛い思いさせられないかって」
「え?なんで?凌我、良い人だよ」
それは普通に。
あたしが目を丸くさせて首を傾げると、柊は、これだから・・・って言いながら深いため息を吐いた。