昨日、学校一の不良に壁ドンされちゃいました!


最初は確かに、卵焼きを焦がして凌我に『食えんのか?』なんて言われてしまったほどだったけど、最近は大分上達してきたと思う。

そんな思い入れたっぷりの卵焼きを食べながらすごい怒った顔で見られると、怖すぎて体が硬直してしまいそうだ。

今凌我の顔を見たら恐怖で泣いてしまうと思ったあたしは、俯いて必死に凌我の顔を見ないようにしたけど、そんなあたしの心情を察したのか、凌我は箸をお弁当の上に置くと、すっと立ち上がってあたしとの距離を詰めてきた。


「おい、優乃」

「・・・・・・」

凌我に見下されてるのを痛いほど感じる。

俯く目の前には凌我の長い足。
石けんの良い匂いが鼻を掠めるほどの距離。


あたし、多分、今、殺される。

確実に殺される。

ついに、凌我を怒らせてしまった。
今まで何とか済んできたけど、ついに怒らせてしまった。

今日が命日だ。


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