猫の世界と私
外に出ると、途端に襲ってくる夕日の光に結愛は思わず手で顔を覆った。
暗闇から突然の光は、瞳に痛みを与える。

覆った手の隙間から伝わる光は、やはり赤く、ようやく慣れ始めた瞳をゆっくりと開き、結愛はその世界を視界に入れた。



「赤い…やっぱり夕日は変わらないのね…」



赤く、切ない、何か悲しさを感じさせる夕日が外の世界を染めている。
建物、木々、そこに存在を示している物は普通に景色に溶け込んでいるが、動く機械的なものはなかった。

広い道路は静かに、車一台も走っていない。

そして、誰一人もいない…



「予想通り…君たちはいるのね…」



閑散としている世界の中、結愛以外にいる動く者。
それは教室にもいた、たくさんの猫だった。

結愛が外に出た途端に近寄る猫たち。

フワフワとした感触が足首から伝わる。


歓迎の態度を見せる猫たちに、結愛はしゃがみこみ、猫たちの頭をゆっくりと撫でた。
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