猫の世界と私
そう思い、何とか動く足を引きずるようにして歩いていると、反対側の歩道に一匹の猫が見えた。



「あ、あの猫…そういや久々だな…」

「そうね…きっと私たちが忙しいって分かってて遠慮してたんじゃないかな…」

「そっか、あいつ賢かったもんな」



瑛祐と結愛が立ち止まり、猫の方を見ていると、猫は自分を待ってくれていると思ったのか、一気に道路を横切ろうと飛び出した。



「あ、あいつ！！」



車通りの多い道路。
いくら身のこなしがいいと言っても、スピードのある車を避けることは困難だ。

瑛祐は車が猫が横切ろうとしている道路に向かって走っているのを確認すると、何とか猫を脅かして元の場所へ戻そうと歩道ギリギリまで移動した。



「うわっ…」



段差があることに気付かずに、瑛祐はバランスを崩し、道路へ飛び出した。
そこに向かってくる車が瑛祐の視界に入る。

もうダメだ、轢かれる…
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