猫の世界と私
彼女は、いつもいるグループの内の一人で、顔に似合わず積極的で行動が早く、豪快。いつも勢いよく挨拶をしてくれる。
たまに気が抜けるのか、よく転けるところが瑛祐にとっては面白く、記憶に残っていた。



「そう、一人」

「じゃ、隣いい?」

「どうぞ」



椅子の上に乗せていた荷物を移動させ、未来を隣に促す。
未来は笑顔のまま、瑛祐の隣に腰を下ろした。



「瑛祐君、いつも早いよね。そんなに遠くから来てるの?」

「ん…いや、そんなに遠くはない、はず…」

「え、じゃ、何でこんなに早いの?真面目君?」

「そうだな、何でだろう…」



未来の質問には答えるが、視線は外を向いたままで未来を見ることはない。
瑛祐は、まだ午前中のキラキラとした太陽に照らされている景色を、ただボーッと見ていた。

その視線を追うように、未来は瑛祐の顔を覗き込む。



「何を見てるの?さっきから」

「………」

「何かある?」

「何もない。ただ景色を見てただけだよ」

「いつもだね」

「え?」

「瑛祐君は、いつも景色を見てる。昼も夕方も…でも、どっちかな…夕日を見ている時は、昼間よりもっと寂しげに見えるかな…私たちと会話はするけど、どこか表面的で私たちと距離を置いてるでしょ?」

「………そう?」

「それは自分がよく分かってるんじゃない?」

「……別に、俺は…」

「ねぇ、それって結構失礼だよ」

「………」

「もっと私たちを見てよ」

「………努力します」
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