猫の世界と私
「うん、やっぱりダメだよね…」

「は?」

「いいの。言葉に出して、瑛祐君、どんな反応するのかなって思っただけだから」

「……試したってこと?」

「悪く言えばそうなる。けど、私とちゃんと向き合って欲しいって言うのもあるから…」

「………」

「いい。私が悪かったのは分かってるから…ごめん…」

「………」

「先に行ってて。私、ちょっと下で頭冷やしてくる…」



未来の気持ちは分かっている。
だけど、試されたことに対して、いい気はしない。

二階へ階段を上りきろうとした時、未来は再び階段を降りようと振り返る。
その時、濡れていた階段から足が滑り、未来の体が一瞬フワリと浮いた感じに舞うと、そこから一気に体制を整わせることもなく未来の体が転がっていった。

一瞬で隣にいたはずの未来が消え、もの凄い音を立てて転がっていく姿を見た瑛祐は、震える唇で未来の名前を呼んだ。
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