猫の世界と私
「み…未来…」



うつ伏せに横たわる未来の体はピクリとも動かずに目を閉じている。
瑛祐の声は届かず、力を無くしたままグッタリとしていた未来は病院へ運ばれた。



「私が話せるのはここまでよ、結愛」

「……そう…ありがとう…」

「階段から落ちたことは覚えている。私、死んだのね」

「………」

「体が浮いた瞬間、物凄く驚いた顔で瑛祐君は私を見てた。それが、最後に見た瑛祐君かな…」

「……そう」



結愛は胸に抱いた猫の背中を撫でる。
そして、ゆっくりと窓際へ移動した。



「ねぇ、未来…もうすぐ夜が来るわ」

「え…?」
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