猫の世界と私
「時間が動き出したの。この世界は、もう止まることはないと思う」

「……?結愛…どういうこと…?」

「……そっか、私のことは気付いていたみたいなのに、自分のことは気付いていないのね…」

「……?」

「未来は生きてるよ」

「え…」

「未来は死んでない。生きてるんだよ」

「何で…何でそんなこと言えるの?」



結愛は、ゆっくりと笑顔を向ける。
未来は結愛の表情を黙って見ていた。



「この世界は…瑛祐君の世界でしょう…」

「……あ…」

「やっぱり未来は気付いていたのね」

「何で…?」

「夕日、始まりの教室、自分の格好と猫。そして、車が一台も走っていないこと…自分に欠けていた記憶の内容を聞いて気付いた。未来も、どうして気付いたの?」

「結愛と猫がいて、車が一台もなく、電車のアナウンスを聞いて、徐々に疑いが深くなっていったの。そして、結愛の戻った記憶を聞いて確信した…」
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