猫の世界と私
「私は…また一人なのね…」



小さな溜め息と共に結愛は呟く。
前回も結愛は、この世界に一人だった。



「ううん、違う…一人じゃないか…あなたたちがいるから…」



小さく、フワフワとした毛を纏った者。
耳を立たせ、尻尾の先を少し丸め、上に立たせて歩く者。


結愛は、自分の足に擦り寄るその者の頭を優しく撫でた。


その者の正体は猫。


横を向けば猫がいて、遠くを見ても猫がいる。つまり、この世界は猫の世界と言わんばかりの猫がいる。
その中に、人間は結愛一人。


これだけは変わらない。


何度、格好、髪型が変わっても猫がいる世界は変わらなかった。


猫はいつもと同じように擦り寄り、頭を撫でると目を細めて気持ちよさそうに上を向く。
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