猫の世界と私
「何で笑ってんの?」

「あ、いや…笑い方下手だなと思って」

「失礼だな」

「でも、嬉しいよ。瑛祐君から自然と笑顔向けてくれるの…」

「そう?」

「そうだよ。笑顔見たことはあったけど、ちゃんと自然に、しかも向き合っては初めてだよ」

「……それ以上言わないでくれる…?」

「ん、無理。ずっと言っちゃうかも」

「何でだよ」

「だって、笑ってて欲しいから」

「………」

「瑛祐君の笑顔見てると嬉しくなっちゃう」

「……み…く…」

「……え…」

「………」

「お願い、もう一度言って」

「……み…未来…」



初めて名前を瑛祐から呼ばれ、未来は満面の笑みで瑛祐を見つめた。
瑛祐は顔を背け、視線を合わせないようにしている。

赤くなった頬は完全に隠すことは出来ずに、未来は瑛祐の頬に触れた。

熱い体温が手のひらから伝わってくる。
それ以上の隠しようがなく、瑛祐は抵抗することもなく未来の手のひらに頬を預けていた。
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