猫の世界と私
「ずっと覚えていよう」

「……え?」

「結愛さんのこと、ずっと覚えていよう。記憶の中では生きてる。そして、ずっと見守ってくれてるよ」

「……何を、言って…」

「私たちが忘れない限り、生きてるよ。そうでしょ?」

「そうだけど…でも、声も笑顔も思い出せないんだ…こうだったかな…位の淡い記憶でしかない…」

「でも、思い出は生きてる。声も、笑顔の記憶も曖昧かもしれない。けど、生きてるから…時間が経って行くのは仕方がないことだと思う…私が言うことじゃないのかもしれないけど…」



この言葉を、実際に言ったのは結愛。
瑛祐の記憶の世界で生きている結愛が言った言葉。

どう伝えたらいいのかは分からない。

けれど、この言葉は伝えなければならない気がしてならなかった。


瑛祐は瑛祐の時間を。
生きて、時間を過ごして…。


そんな結愛の願いを何とか言葉にしたかった。
伝え方は下手だったかもしれない。
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