猫の世界と私
そして、再び暗闇が襲う。
フワリとした感覚に、覚えのある状況。
次に目覚めた結愛は、自分のいる場所を最初に確認した。



「…駅…よね…」



いつも繰り返していた世界とは違う状況が待っていた。
教室でも校門付近でもなく、海へと続く道がある、少し田舎を思わせるような駅。
そのホームに結愛は立っていた。
ホームには扉が開いたまま止まっている電車がある。


次の格好は、ヒラヒラとしたチュニックにスリムなジーンズ。上着としてニットのカーディガンコートを羽織り、革のブーツを履いていた。
髪型は以前と変わらず、セミロングより少し長いままだった。ヘアアクセを使っているわけでもなく、ただ下ろしただけのシンプルな状態だ。


次はどこに行くのか、行かなくてはいけないのか。


結愛は電車に乗り込み、貸切状態の車内の椅子に座った。
結愛が入ると扉が閉まり、電車は動き出す。


切なげに見えた夕日に照らされた車内が温かく感じる。


もしかしたら、この場所でも何か思い出があるのかもしれない。



「え…?」



そう思った途端、いつの間にか潜り込んでいたのか、猫が数匹結愛に近づいてきた。
腕を支えに座っていた結愛の隣に座り、手にそっと触れるように擦り寄る。
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