猫の世界と私
「くすぐったい…そして、何でだろ…温かい…」



“温かい”
猫の体温のことを言っているわけではない。

心に感じる温かさ。

キュンとさせる猫の優しさを、電車の揺れと共に感じていた。
時間が流れているような感覚にさせてくれる。

終わることのない時間なはずなのに、今感じている時が終わらなければいいと思うほどだ。



「そう、きっと、そうね」



言葉は何一つ思い出すことはない。
なのに、温かさだけは心に残っている。

きっと、今と同じような時を瑛祐と過ごしたに違いない。

確証はないが、そう確信した。

そして、その時を楽しむように目を閉じ、電車の音と揺れに身を任せた。
触れている温かさが安心感をくれる。


一人じゃない。


そう言われている気がした。
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