猫の世界と私
「ここ…」



知っている。
きっと、知っている。

そんな確信があった。

凝視して記憶を辿るが、過ぎる言葉も感覚もない。
まだ思い出せないだけなのか…

向かい合うように配置された椅子に手を触れ、座りたいと思った場所に腰を下ろした。
途端に思い出す光景と切ない気持ち。



「ここで勉強して…時に考え込んで…時に…彼をここで待った…」


自分自身が見ていた光景を思い出す。
外から見える夕日が一日の終わりが近いことを告げているようで、寂しく思っていた。
部活終わりに現れる瑛祐。
いつも笑顔で、本と向き合っている結愛に静かに近づき、目の前の椅子に座る。
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