猫の世界と私
その顔は耳まで赤く、こちらにも熱が伝わってきそうなくらいだった。

自分以外にいた人。

こうして今、言葉を交わしている。

嬉しいと思う以外の気持ちが思いつかない。



「未来さん、あなたはいつからここにいるの?」

「……分からない…」

「…え…まさか、あなたも記憶が…」

「あ、ううん。私は…いつ来たのか分からないだけ。記憶はあるの」

「そう、なの…」



未来には記憶がある。
対して、結愛には記憶がない。

ないというより、無くなっていっている。つい最近また思い出してきたけれど、彼の姿、声、笑顔、形と言っていいのか、彼の言葉以外のことを思い出すことが困難になっている。


この違いは何なのか。
未来は一体いつからここにいるのか。
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