猫の世界と私
自分が死んでいることだけは記憶にある結愛。
今の自分に本当の体はないはずなのに、動機や不安を感じる。
そんな他愛もないことが「生」という言葉を深く考えさせられる。



「とにかく、ここから出なきゃ…」



自分に言い聞かせるように呟いた結愛は、暗闇へと足を踏み入れることに躊躇いはあったが、目を強く閉じると、ジャンプして一気に教室を出た。


地面に着いた足から伝わる感覚は普通そのもので、何か違う感覚もなく、本当に当たり前に立っている感じだった。



「………」



暗い。
あまりにも暗過ぎる。

開いたままの扉らか漏れる夕日が明るく感じられ、振り向いた結愛は、思わず、その光に魅入った。


そして、そんな結愛を見ている猫たち。


鳴き声を発することなく、ただジッと様々な瞳の色を輝かせながら結愛を見ている。
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