猫の世界と私
教室を出た結愛を追いかけてくるかと思ったが、どの猫も動かずに、凝視したままだった。


注目を浴びている緊張感は変わらないが、結愛は猫が追いかけてこないと分かると、暗闇が続く廊下を歩き出した。



「何で明かりがないのかな…」



何かがおかしいことは分かっている。
夕日の明かりが廊下に届いていない、蛍光灯も灯されることなく、ただ飾っているかのように天井にくっついている。


けど、自分がそんな世界に足を踏み入れていることが、何よりも不安なことであり、誰も話し相手がいないことが、とても寂しく感じられた。


不安に駆られる自分を落ち着かせるために、分かっていることを呟いてしまう。



「………」



だが、その呟きもすぐに終わる。
出口の見えない暗闇は、口を閉ざすのに十分な威力だった。


地面を踏む感覚も、廊下の壁に触れる感触もある。
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