°°ワガママの果て°°

いつまでも子どものように泣きじゃくるわたしをまじまじと見た悟くんは、
フッと1度浅く息を吐いて
ベンチにまたがるように座り直した。






「おいで。」



そう広げられた腕にますます涙が流れる。迷う事なく飛び込んだ腕の中で感じたのは悟くんの強い想い。




「目の周り真っ黒!」


そう言って笑う笑顔が…


「ほら、こっち向いて」


涙を拭いてくれる優しい指が…
わたしの全てを満たしてくれる。




「ねぇ、行かないで…」



「行かないよ」



優しく言うその言葉を聞いて、
また一気に涙が溢れた。




「本当に?」



「うん」



「本当に?」



「本当に」



「絶対?」



「絶対行かない」



「ぜーったいだよ?」



「しつこいなぁ~行かないよ」




何度も確認するわたしの頭を撫でながら優しく笑ってくれる悟くんは、わたしをギュッと抱きしめ言った。




「お前、本当にワガママ…
置いてなんていけねぇよ!」






受け入れてくれた大きな手を、
幸せなこの時間を…失いたくない。
悟くんの大きな大きな想いを知った今…
私の中のナニカが少しかわった。
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