°°ワガママの果て°°
「ねぇ、わたしにアドレス変更したってメール送ってくれた?」



「えっ?送ってないけど…お前隣に居るから自分で登録すると思って」



「なんでよ?ひどい!1番に送って欲しかったのにぃ~ていうか、1番に送るでしょ?普通は!」



グズるわたしの隣で悟くんはタバコをポケットから出し、呆れて笑いながら「わかったわかった」と頷いた。





タバコをくわえる横顔とサクラ並木が絵になりすぎて、細い目を更に細めて煙をフーっと吐くその仕草に胸が高鳴るのはもう何度目だろう。




「この歌いいよ」



そう言って悟くんが流してくれた音楽は甘酸っぱい恋の歌で、

”ねぇ悟くん、誰を想って聞いてる?”

聞けない想いを閉まってまた寄り添った。



「なら、わたしの好きな歌も聞いて」


わたしの大好きなアーティストの歌を流した。歌で気持ちを伝える様に…


”ねぇ悟くん、わたしはいつも悟くんを想って聞いているよ”






2人で順番に流す歌はどれも恋の歌で、サクラの季節にピッタリな雰囲気を運んできてくれた。




「そろそろ俺の家行く?」


悟くんの一言に思い切り頷いて手を繋いだまま歩き出した。






”来年も2人でお花見できるかな?
一緒にいられるかな…”
< 145 / 160 >

この作品をシェア

pagetop